パウロによる福音書 ― ローマ書講解 Ⅱ
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A5サイズ
360ページ
2005年12月1日発行
本書は、市川喜一著作集の中で、五巻からなる「パウロによるキリストの福音」シリーズの第5巻になります。
このシリーズは、最初の「パウロによるキリストの福音Ⅰ」の「まえがき」に書きましたように、パウロ全書簡の注解や講解を目指すものではなく、パウロ書簡の探求を通して、使徒パウロがわれわれに告げ知らせている「キリストの福音」とはどのような内容のものであるのかを追求していこうとするものですが、本書と前の第4巻では、パウロ自身がその生涯の最後に文書の形で「キリストの福音」をもっとも包括的かつ体系的に提示する「ローマ書」を残していますので、その「ローマ書」を講解することによって、このシリーズのまとめとします。
シリーズの中での本書の位置を示すために、本シリーズの構成と、各巻の内容の概略を掲げておきます。
1 「パウロによるキリストの福音 Ⅰ」
ガラテヤ書とテサロニケ書第一書簡を資料として、パウロが宣べ伝えたキリストの福音が、福音の母胎であるユダヤ教を克服すると同時に、ユダヤ教を継承しているという面を見ます。
2 「パウロによるキリストの福音 Ⅱ」
コリント第一書簡によって、福音が異邦人の間に受け入れられるときに生じる諸問題に対してパウロがどのように対処したかを見て、そのことを通してパウロによるキリストの福音の内容を探求します。
3 「パウロによるキリストの福音 Ⅲ」
コリント書第二書簡とフィリピ書およびフィレモン書によって、パウロ最晩年の活動の実際を探り、その時期のパウロの福音宣教の実際とその内容を理解することを試みます。
4 「パウロによる福音書―ローマ書講解 Ⅰ」
5 「パウロによる福音書―ローマ書講解 Ⅱ」
パウロ書簡の中で最後に書かれ、もっとも体系的にキリストの福音を提示しているローマ書は、「パウロによる福音書」と言えます。このローマ書を講解することによって、「パウロによるキリストの福音」を提示します。Ⅰはローマ書の前半(一~八章)、Ⅱは後半(九~一六章)を扱います。
この構成からも分かるように、本書『パウロによる福音書―ローマ書講解』はそれだけで独立している著作ではなく、「パウロによるキリストの福音」シリーズの一部であり、それまでの「パウロによるキリストの福音」三巻の理解を前提にしています。とくにローマ書執筆の事情については、前著『パウロによるキリストの福音 Ⅲ』の第七章「使徒パウロ最後の日々」第一節「最後のコリント滞在」を参照してください。ローマ書の執筆事情はそこで詳しく扱っていますので、本書では手紙の挨拶の部分の講解という形で簡単にしています。なお、同書の終章「諸国民への使徒パウロ」は、ローマ書への序章(導入部)として役立つと思われますので、その章を読まれた上で「ローマ書講解」に入られるようにお勧めします。(本書「まえがき」より)
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