パウロによるキリストの福音 Ⅲ
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460ページ
2005年4月1日発行
本書は、市川喜一著作集の中で、五巻からなる「パウロによるキリストの福音」シリーズの第3巻になります。
このシリーズは、前著「パウロによるキリストの福音Ⅰ」の「まえがき」に書きましたように、パウロ全書簡の注解や講解を目指すものではなく、パウロ書簡の探求を通して、使徒パウロがわれわれに告げ知らせている「キリストの福音」とはどのような内容のものであるのかを追求していこうとするものです。
シリーズの中での本書の位置を示すために、本シリーズの構成と、各巻の内容の概略を掲げておきます。
1 「パウロによるキリストの福音 Ⅰ」 (既刊)
ガラテヤ書とテサロニケ第一書簡を資料として、パウロが宣べ伝えたキリストの福音が、福音の母胎であるユダヤ教を克服すると同時に、ユダヤ教を継承しているという面を見ます。
2 「パウロによるキリストの福音 Ⅱ」 (既刊)
コリント第一書簡によって、福音が異邦人の間に受け入れられるときに生じる諸問題に対してパウロがどのように対処したかを見て、そのことを通してパウロによるキリストの福音の内容を探求します。
3 パウロによるキリストの福音 Ⅲ」 (本書)
コリント第二書簡とフィリピ書およびフィレモン書によって、パウロ最晩年の活動の実際を探り、その時期のパウロの福音宣教の実際とその内容を理解することを試みます。
4 「パウロによる福音書―ローマ書講解 Ⅰ」 (二〇〇五年八月 刊行予定)
5 「パウロによる福音書―ローマ書講解 Ⅱ」 (二〇〇五年十二月 刊行予定)
パウロ書簡の中で最後に書かれ、もっとも体系的にキリストの福音を提示しているローマ書は、「パウロによる福音書」と言えます。このローマ書を講解することによって、「パウロによるキリストの福音」を提示します。Ⅰはローマ書の前半(一~八章)、Ⅱは後半(九~一六章)を扱います。
パウロ書簡は、最初のテサロニケ第一書簡を除き、ほとんどがパウロの最後の活動拠点となったエフェソで書かれたか、その直後に書かれています。それで、本書ではまず最初に「第一章 エフェソにおけるパウロ」で、エフェソにおけるパウロの活動をまとめて描き、その後第二章から第六章までで、この時期に書かれた書簡(すでに扱ったガラテヤ書とコリント第一書簡を除く)を用いて、パウロ最晩年の福音の提示を追究します。そのさい、コリント第二書簡やフィリピ書は、もともと数通の手紙が編集によって一つの手紙にまとめられた形跡があるので、元の数通の手紙に分け、それぞれが書かれた状況に置いて理解しようとしています。最後に「第七章 使徒パウロの最後の日々」で、ローマ書執筆以後の使徒パウロの生涯の出来事をたどります。そして、「終章 諸国民への使徒パウロ」で、これまで3巻にわたった本シリーズ「パウロによるキリストの福音」の総括を行います。(本書「まえがき」より)
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