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パウロによるキリストの福音 Ⅱ

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390ページ   
2004年12月1日発行 

本書は、市川喜一著作集の中で、五巻からなる「パウロによるキリストの福音」シリーズの第2巻になります。

このシリーズは、前著「パウロによるキリストの福音Ⅰ」の「まえがき」に書きましたように、パウロ全書簡の注解や講解を目指すものではなく、パウロ書簡の探求を通して、使徒パウロがわれわれに告げ知らせている「キリストの福音」とはどのような内容のものであるのかを追求していこうとするものです。

シリーズの中での本書の位置を示すために、本シリーズの構成と、各巻の内容の概略を掲げておきます。
 
1 「パウロによるキリストの福音 Ⅰ」 (既刊)
ガラテヤ書とテサロニケ第一書簡を資料として、パウロが宣べ伝えたキリストの福音が、福音の母胎であるユダヤ教を克服すると同時に、ユダヤ教を継承しているという面を見ます。

2 「パウロによるキリストの福音 Ⅱ」 (本書)
コリント第一書簡によって、福音が異邦人の間に受け入れられるときに生じる諸問題に対してパウロがどのように対処したかを見て、そのことを通してパウロによるキリストの福音の内容を探求します。

3 パウロによるキリストの福音 Ⅲ」 (二〇〇五年四月 刊行予定)
コリント第二書簡とフィリピ書およびフィレモン書によって、パウロ最晩年の活動の実際を探り、その時期のパウロの福音宣教の実際とその内容を理解することを試みます。

4 「パウロによる福音書―ローマ書講解 Ⅰ」 (二〇〇五年八月 刊行予定)
5 「パウロによる福音書―ローマ書講解 Ⅱ」 (二〇〇五年十二月 刊行予定)
パウロ書簡の中で最後に書かれ、もっとも体系的にキリストの福音を提示しているローマ書は、「パウロによる福音書」と言えます。このローマ書を講解することによって、「パウロによるキリストの福音」を提示します。Ⅰはローマ書の前半(一~八章)、Ⅱは後半(九~一六章)を扱います。
   
パウロ書簡の中ではローマ書がもっとも包括的で体系的ですから、パウロの福音を提示するのにローマ書の講解という形をとる場合が多いようですが、コリント第一書簡も「パウロによるキリストの福音」を探求する上で、ローマ書に劣らず重要です。それは、コリントの集会が直面した問題が多岐多様なため、それに対処するために使徒パウロが提示するキリストの姿も多様であり、具体的な問題に即してキリストが生き生きと詳しく語られているからです。ローマ書では要約された形で簡潔に語られている福音の重要事項も、このコリント第一書簡では詳しく展開されており、この書簡を通してしか分からない福音の内容も多々あります。コリント第一書簡は長さの点でもローマ書と同じほどですが、その重要性においてもローマ書に勝るとも劣ることはありません。本書では、このコリント第一書簡によって「パウロによるキリストの福音」の豊かな内容を探求したいと願っています。(本書「まえがき」より)

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