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マルコ福音書講解Ⅰ

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438ページ   
2002年10月1日発行

キリストの福音を証言する新約聖書は、四つの福音書とパウロ書簡を中心とする使徒書簡という二本の柱で構成されています。その一方の柱である福音書の中では「マルコ福音書」が最初に書かれた福音書であり、他の二つの大きな福音書、すなわち「マタイ福音書」と「ルカ福音書」がこの「マルコ福音書」を枠組みとして用いていることからも、基礎的な福音書と言うことができます。本書はこの「マルコ福音書」の全体を段落ごとに講解して、この基礎的な福音書が世界に伝える「イエス・キリストの福音」を聴き取ろうとする試みです。

「マルコ福音書講解」は「マルコ福音書」の内容に従って、次の三部から構成されています。
 
 第一部 ガリラヤでの宣教   マルコ福音書  1章~5章
 第二部 エルサレムへの旅   マルコ福音書  6章~10章
 第三部 エルサレムでの受難 マルコ福音書 11章~16章
 
本書「マルコ福音書講解 I」は、この中の第一部と第二部を取り扱っています。第三部と全体をまとめる終章は、続いて刊行される「マルコ福音書講解 II」で取り扱われます。

本書は、マルコ福音書の学術的な注解を志すものではなく、マルコ福音書を通して著者が聴き取り理解したかぎりのイエス・キリストの福音を告白し、世に提示しようとするものです。しかし同時に、この福音書をそれが成立した歴史的状況の中で理解するために、現在までの学術的な成果をできるだけ吸収消化して、その霊的内容の理解が独善に陥らないように努めました。現在、イエスの働きや言葉を語り伝える伝承の歴史(伝承史)と、それが福音書という形に書きとどめられるさいの神学的な立場の表現についての研究(編集史)は精緻をきわめていますが、その成果を念頭に置きながら、それには立ち入ることをせず、もっぱら原形のテキストが現在のわたしたちに語りかける霊的使信に耳を傾けたいと願っています。 (本書まえがきより) 

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